試着に連れて行ったら「背中がイヤ」と言って背負ってくれなかった。カタログを見せても興味を示さない。そもそも、この子にランドセルを毎日背負わせて大丈夫なんだろうか。
ラン活(ランドセル選び)の情報はあふれていますが、感覚過敏のあるお子さん・体の小さいお子さん・発達に特性のあるお子さんの視点で書かれた記事は、ほとんど見当たりません。「かわいい」「かっこいい」「人気ランキング」ばかりで、知りたいことが載っていない。そう感じているご家庭は、決して少なくないと思います。
私は障害のある二人の子を育てる父で、理学療法士をしております。息子は発達障害があり、ほぼ試着できずに購入。娘は側弯がありランドセル購入後にランリュックに替えた経験があります。
この記事では、体を診る仕事をしてきた立場と、同じように悩んだ親の立場の両方から、確認していただきたいポイントと、特徴の異なる8つのブランドをご紹介します。
結論から言えば、ランドセル選びは「色とデザイン」の前に、見るべきところが別にあります。
見るべきポイントをわかりやすく解説していきます。ぜひ、楽しいランドセル選びに役立ててください。
まず知っておきたい「ランドセルは思ったより重い」という現実
ランドセル本体の重さは、一般的に1,100〜1,500g程度です。ただ、実際に毎日背負うのは「ランドセル+中身」です。
フットマーク株式会社が小学1〜3年生を対象に行った調査では、次のような結果が報告されています。
- 中身の重さの平均は約4.28kg。タブレット端末の導入と教科書の併用で、前年の3.97kgから増えている
- ランドセル本体を含めると、平均で約6kgを背負って通学している
- 調査に回答した児童の約3割が、ランドセルを背負って「痛み」を感じたことがある
また、一般的に子どもが背負う荷物の適正重量は体重の10%程度、重くとも15%以下が望ましいとされています。
体重20kgのお子さんなら、適正はおよそ2kg。6kgは体重の3割にあたります。大人に置き換えると、体重60kgの人が18kgの荷物を背負って毎日歩くようなものです。
想像以上にお子さんにとっては負担になっている可能性があります。
だからこそ、ランドセル本体を少しでも軽くすることには意味があります。中身は減らせなくても、本体は選べるからです。
▶ わが家が実際に「ランドセルをやめた」話は、こちらに詳しく書きました:

特性のあるお子さんのランドセル選び、5つのチェックポイント
① 「軽さ」は数字より、背負ったときの体感で見る
カタログの重量はもちろん大事です。ただ、体感の重さを決めるのは、実は肩ベルトの形状と、背中への密着度のほうです。
荷物が体から離れるほど、重心は後ろに移り、体は後方に引っ張られます。それを支えようとして、自然に前かがみの姿勢になります。。同じ1,200gでも、背中にぴたりと沿うものと、後ろに垂れ下がるものとでは、体への負担がかなり変わってきます。
試着のときに見ていただきたいのは、たった一つ。背負った状態で、まっすぐ立てているかどうかです。前かがみになる、あごが上がる、肩がすくむ。そうしたサインが出ていたら、そのランドセルはお子さんの体に合っていない可能性があります。
「背カン」(肩ベルトの付け根の金具)が立ち上がるタイプや、腰ベルト付きのものは、体に近づけやすい設計になっています。
② 感覚過敏のあるお子さんは「肌に当たる場所」をすべて確認
お子さんが「なんかイヤ」と言ったとき、それは感覚面の問題が背景にあることが多いと感じています。
確認していただきたいのは、次の場所です。
- 肩ベルトの裏側の素材 — メッシュ、合皮、ザラつきの有無
- 縫い目とステッチ — 首や脇に当たる位置に硬い縫い目がないか
- 背あてのクッション — 凹凸の形。ぼこぼこした形状が苦手な子もいます
- 金具の位置 — ナスカンや金属パーツが体に触れないか
- におい — 革や接着剤のにおいが苦手なお子さんもいます

可能であれば、夏服(半袖)の状態で試着してみてください。よりフィット感や感覚を確かめられます。
③ 錠前(ロック)は「本人が自分で開け閉めできるか」
手先の不器用さがあるお子さんは、錠前(ロック)の操作でつまずくことがあります。学校では1日に何度も開け閉めしますし、周りの子が先に済ませて待っている場面もあります。そこで焦ってしまう子もいます。
装飾がなく錠前(ロック)がシンプルなものを選ぶか、試着のときにお子さん自身に開け閉めをやってもらうことが大切です。親御さんが試して「簡単」と思っても、お子さんの指の力と器用さでは違うことがあります。
閉め忘れが心配な場合は、かぶせを下ろすと自動で閉まるタイプを選ぶと安心です。

息子はこの錠前(ロック)の操作ができなかったので、かぶせ下すと磁石で自動で閉まるタイプのランドセルを選択しました。
④ 6年間の保証内容と、修理中の代替品
多くのメーカーが6年間の修理保証を付けています。ただ、確認していただきたいのはその中身です。
- 「通常使用の範囲」の故障のみか、それ以外も対応してもらえるか
- 修理中に代替品を貸してもらえるか(ここが意外と重要です)
- 送料はどちら負担か
特にこだわりの強いお子さんの場合、「いつものランドセルがない」こと自体が大きなストレスになります。代替品の貸出があるかどうかは、事前に聞いておくと良いと思います。
⑤ 本人の気持ちはできるだけ尊重する
お子さんによっては、色や飾りへの強いこだわりがある場合もあると思います。
親としては「6年間使うんだから落ち着いた色を」と思いますよね。ただ、6年間背負うのは本人ですので、ここで妥協すると、そもそも使ってくれない、という事態になることがあります。
息子は当時、赤色にこだわっており、親としては悩ましい部分もありました。最終的には黒と赤のかっこいいランドセルに着地し、今でも気に入って使ってくれています。
上記のポイントをチェックしたうえで、やはり最後はお子さんが気に入ったデザインを選択することが大切かと思います。
タイプ別に選ぶ8ブランド
ここからは、特徴のはっきり違う8ブランドを、「何を優先したいか」別にご紹介します。どれが一番良いという話ではなく、お子さんが困っているポイントに合うものを選んでいただくのが一番だと思います。
※仕様・価格は2026年7月時点で各公式サイトを確認したものです。モデルや年度によって変わりますので、ご購入前に最新情報をご確認ください。
【体への負担をとにかく減らしたい】
エルゴランセル — 登山リュックの技術を持ち込んだランドセル
重い荷物を長時間背負うために設計された登山リュックの発想を、ランドセルに取り入れたブランドです。立体的な肩ベルトに加えて、チェストベルト(胸)とウエストベルト(腰)が付いており、荷重を肩だけでなく腰にも分散させます。
重さは本体で約1,040g、取り外し式のウエストベルトを付けても約1,150g。本体は1000Dコーデュラナイロン、背中に当たる部分は通気性のあるダブルラッセルメッシュです。内寸は高さ33.5×幅25×奥行16cmでA4フラットファイルに対応。価格は55,000円。
こんなご家庭に: 体幹が弱い・体が小さい・通学距離が長いお子さん。腰で支えられる構造は、肩まわりの負担を減らしたい場合に有力な選択肢です。
豊岡鞄スクールリュックUMI — 「革のランドセル」をやめるという選択
鞄の産地として知られる兵庫県豊岡の職人が作る、ナイロン100%のスクールリュックです。特許出願中のZeRoG Fit®ショルダーベルトは、体温でかたちが変わる素材を使っており、肩になじみながら荷重を分散します。
容量は13L、ファスナーを開くと15Lまで拡張。教科書・A4ファイル・体操服・上履き・1.5Lの水筒・給食セットが収まる大容量です。本体には廃棄された漁網を再生した素材を使用。価格は52,800円。保証は3年間無料保証に加え、豊岡鞄の保証制度により卒業までカバーされます。男女兼用で6色。
こんなご家庭に: 革のランドセルの硬さ・重さ・においが苦手なお子さん。ただしランドセル型でないかばんを認めているか、学校への確認をおすすめします。「まわりと違うこと」を気にするお子さんの場合は、本人とよく相談してからのほうが安心です。
【錠前の操作でつまずかせたくない】
くるピタランドセル — 磁石の力で「くるっと回してピタッ」
最大の特徴は、名前の由来にもなっている「くるピタ錠前」です。磁石の力を使った特許技術で、指先の軽い力で開け閉めができ、かぶせを下ろすとワンタッチで閉まります。錠前をつまんで回す動作が苦手なお子さんにとって、これは毎日の負担がまるごと一つ減ることを意味します。
肩ベルトには厚さ約10mmの低反発クッション「楽ッション」を採用しており、小柄なお子さんでも背負いやすい構造です。メイン収納のマチ幅は12.5cmと余裕があり、軽量モデルは1,150g以下。360度反射材つき。価格は59,400円〜77,220円で、ランドセル工業会認定の6年間保証が付きます。
こんなご家庭に: 手先の不器用さがある・閉め忘れが多い・急かされると焦ってしまうお子さん。チェックポイント③を最優先したいなら、まず候補に入れていただきたいブランドです。
【体に合わせて調整したい・試してから決めたい】
水野鞄店 — 明治23年創業、名古屋の老舗
明治23年(1890年)創業、130年以上の歴史を持つ名古屋の鞄メーカーです。長く他ブランドの製造も手がけてきた会社で、作りの堅実さに定評があります。
特筆したいのが肩ベルトです。「ハネッセル」に採用されているラチェットアジャスターは、ランドセルを背負ったままの状態で5mm単位の調整ができます。一般的な下ベルトの留め具は、いったん下ろして穴を差し替える必要がありますが、この方式ならその場で微調整ができます。体格の変化が大きい時期や、日によって着る服の厚みが変わる季節に、この差は小さくありません。価格は4万円台から、最上位でも68,000円程度。6年保証つき。
こんなご家庭に: 体格が小さめで調整幅が必要なお子さん。フィット感の変化に敏感なお子さん。名古屋にお住まいなら、実物を見に行きやすいのも安心材料です。
樋口鞄工房 — 自宅で試せるレンタルがある工房系
埼玉県川口市の自社工場で、職人が一つひとつ手作りしている工房系ブランドです。200以上のパーツを使い、300を超える工程を経て仕上げられます。
肩ベルトは「八の字形状」と「S字形状」を組み合わせた独自設計で、走ったり跳ねたりしてもずれにくく、体全体で支える構造になっています。背あてには高密度ウレタンフォームのクッションを使い、左右の大きなクッションが背中の上部までフィット。本体は特注樹脂とオリジナル補強材の二層構造で、外部加圧試験では102kgで変形しはじめるという結果が示されています。側面のフックは強い力がかかると外れる安全設計、前後左右に反射材つき。
こんなご家庭に: 購入前に自宅でランドセルを試せるレンタルサービスがあります。これは特性のあるお子さんにとって、とても大きな利点だと思います。お店の中では緊張して本音が出ない子でも、自宅で普段着のまま、何日か背負ってみれば本当のところが分かります。試着に行くこと自体がハードルになっているご家庭にも。
【軽さと価格のバランスを取りたい】
カザマランドセル — 奈良の老舗、特許取得の背カン
創業60年以上、奈良のランドセルメーカーです。特許を取得した背カンにより、肩ベルトが自然に立ち上がって背中にぴたりとフィットします。チェックポイント①でお伝えした「体に近づける」を、構造で解決しているタイプです。
素材は軽くて丈夫な人工皮革(クラリーノ)が中心。学習院型のほとんどが約1,200gで、1,200gを下回るモデルもあります。カジュアルな半カブセタイプは1,000g台と、さらに軽量です。6年無償修理保証つき。価格は4万円台〜6万円台で、売れ筋は50,000〜55,000円あたり。
こんなご家庭に: 軽さは欲しいけれど、予算も抑えたいご家庭。革のお手入れが負担に感じる場合も、クラリーノは扱いが簡単です。
【本人のこだわりを叶えたい】
モギカバン — 184色から「本人の色」を探せる
4シリーズ17アイテム、184色という業界でも屈指のラインナップです。「赤でも青でもない、この色じゃないとイヤ」というこだわりのあるお子さんが、納得できる一本に出会える確率が高いブランドだと思います。黒・赤といった定番以外にも、青系・緑系・茶系・グレー系それぞれにニュアンスの違う色が揃っています。
素材は本革(コードバン・牛革)と人工皮革(クラリーノ)の両方を用意。全モデルがA4フラットファイルに対応しています。機能面では、錠前が自動で閉まる仕様のため閉め忘れを防げること、本体とかぶせの間に継ぎ目がなく教材の出し入れがスムーズなことが挙げられます。6年間の無料修理保証つき。
こんなご家庭に: 色や見た目へのこだわりが強く、妥協すると使ってくれない可能性があるお子さん。閉め忘れが心配なお子さんにも。
SHIFFON — DIESEL、PAUL & JOE などのデザイナーズランドセル
DIESEL、MARY QUANT、PAUL & JOE といったファッションブランドのランドセルを展開しています。PAUL & JOE はブランドの象徴である「クリザンテーム(菊)」の花柄や猫のモチーフ、DIESEL はフラップとサイドのスタッズなど、既存のランドセルにはない世界観が特徴です。
ただし正直にお伝えすると、重さの面では有利ではありません。PAUL & JOE は約1,300g、DIESEL の METAL D-MARK は色によって約1,240〜1,290g と、この記事で紹介している中では重めです。
こんなご家庭に: 体力面に大きな不安がなく、「好きなもの」が登校の原動力になるタイプのお子さん。学校に行きたくない気持ちが強い子にとって、「これを背負って行きたい」という気持ちは、100gの軽さより大きな力になることがあります。どちらを優先するかは、お子さんの様子を見て決めていただくのが良いと思います。
8ブランド 早わかり比較表
| ブランド | 重さの目安 | いちばんの強み | 特に向いているお子さん |
|---|---|---|---|
| エルゴランセル | 約1,040g (腰ベルト装着時 約1,150g) | 腰で荷重を分散 | 体幹が弱い・通学距離が長い |
| 豊岡鞄UMI | ナイロン製 (容量13〜15L) | 革をやめる選択肢 | 革の硬さ・においが苦手 |
| くるピタ | 軽量モデル 1,150g以下 | 磁石式ワンタッチ錠前 | 手先が不器用・閉め忘れが多い |
| 水野鞄店 | モデルにより異なる | 背負ったまま5mm単位調整 | 体格が小さめ・フィット感に敏感 |
| 樋口鞄工房 | モデルにより異なる | 自宅で試せるレンタル | 店頭の試着が難しい |
| カザマ | 約1,200g前後 (半カブセは1,000g台) | 特許背カン+価格 | 軽さと予算の両立 |
| モギカバン | モデルにより異なる | 184色+自動施錠 | 色へのこだわりが強い |
| SHIFFON | 約1,240〜1,300g | ブランドデザイン | 「好き」が登校の力になる |
※2026年7月時点で各公式サイトを確認した情報です。モデル・年度により変わります。「モデルにより異なる」としたものは、公式サイトに代表値の記載がなかったものです。
よくあるご質問
Q. ランドセル選びは、いつから始めればいいですか?
およそ7割のご家庭が、入学前年の5月〜7月ごろに決定・購入しているといわれます。ただ、これはあくまで平均です。娘は12月でしたが、型落ちの展示品をかなりお安く買えました。
ただし、試着を何度もしたい場合や、レンタルを利用したい場合は早めのほうが選択肢は多いです。お子さんが一度で決められないタイプなら、時間の余裕を見ておくと安心です。
Q. 試着に行っても、子どもが背負ってくれません
お店の照明・音・人の多さが負担になっている可能性があります。人の少ない平日午前を狙う、短時間で切り上げる、事前に写真で見せておく、といった工夫で変わることがあります。
それでも難しければ、自宅で試せるレンタルサービスがあるブランド(樋口鞄工房など)を検討してみてください。慣れた環境なら背負ってくれることもあります。
Q. ランドセル以外のかばんでも大丈夫でしょうか?
法律で決まっているものではないため、多くの学校では問題ありません。ただし学校ごとの慣習や指定がある場合もあるので、就学前相談や入学説明会のときに確認しておくと安心です。
わが家も一時期ランリュックに切り替えていました。実際どうだったかは、こちらの記事に正直に書いています(メリットもデメリットも)。

Q. 側弯症や体の変形がある場合、どう選べばいいですか?
体の状態によって考え方が変わりますので、まず主治医の先生や、担当の理学療法士・作業療法士にご相談ください。この記事の内容は一般的な選び方であり、個別の医学的な判断に代わるものではありません。
卒業後は「リメイク」という楽しみ方もあります
少し先の話になりますが、6年間がんばって背負ったランドセルは、卒業後に財布・キーホルダー・ミニランドセルなどに作り替える「ランドセルリメイク」で手元に残すことができます。
物への愛着が強いお子さんにとって、「捨てる」のではなく「形を変えてそばに置く」という選択肢があることは、卒業という節目をやさしく越える助けになるかもしれません。今すぐ必要な情報ではありませんが、頭の片隅に置いておいていただければと思います。
まとめ|試着で見るのはフィット感、最後に決めるのは「本人」
- ランドセル+中身で平均約6kg。本体を軽くすることには意味があります
- 体感の重さは肩ベルトと背中への密着度で決まる。試着では「まっすぐ立てているか」を見る
- 感覚過敏があるなら夏服で試着。肌に当たる場所をすべて確認
- 錠前はシンプルなものを選ぶか、本人にやらせてみる。親が「簡単」と思っても本人には違うことがあります
- ランドセル型にこだわらないのも、一つの選択肢です
- 最後は本人の気持ちを尊重してあげてください。
ランドセル選びは、多くのご家庭にとって「入学が楽しみになる」イベントです。でも、特性のあるお子さんを育てていると、そこですら心配ごとが増えてしまう。
選ぶ基準を明確にしておくことで、よりお子さんに合ったランドセルに出会えると思います。この記事が、その手がかりになればうれしく思います。
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※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
※仕様・価格・保証内容は2026年7月時点で各公式サイトを確認したものです。モデルや年度によって変わりますので、ご購入前に必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。
※お子さんの体に関する判断は、必ず主治医・理学療法士などの専門職にご相談ください。本記事は医学的な診断・助言に代わるものではありません。
※荷物の重さに関する調査データは、フットマーク株式会社が小学1〜3年生を対象に実施した調査によります。

